先月、原研哉の「デザインのデザイン」を読んだ。著書の中に建築家・板茂の四角いトイレットペーパーが紹介されていた。
四角いトイレットペーパーの特徴は以下のような点がある。
- 紙を引き出すとカタカタとゆるい抵抗が生じ、必要以上に紙が供給されない
- 必然的に「省資源」というメッセージ性をもって機能する
- 運搬やストック時は、従来の丸型より「省スペース」になる
これが「デザインか!」と感動した。親しみある生活用品をデザインしなおすなんて、自分には何にも思いつかない。従来のものにどうしても引っ張られてしまう...。
四角いトイレットペーパー、欲しい。トイレットペーパーを交換するとき、うっかり手が滑って落としてしまい転がっていく...という最悪のパターンも回避できる。
こんな素晴らしいデザインがなんで普及しないんだろうと思ったときに、「誰のためのデザイン?」を思い出した。
人は既存の一連の製品やシステムに新しいやり方が導入されると、新しいシステムを学ばなければならなくなり、受け入れにくいらしい。 確かに「デザインのデザイン」の中でも四角さによる利点が書かれるまではメリットが分からなかった。
そもそもトイレットペーパーはなんで丸いんだろう。丸さの理由も知らない、あまりに慣れ親しんだものが、わずかに形を変えて自分たちの生活に溶け込むのはそう簡単なことじゃないんだろうな。