30代のこれから

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今年で32歳になった。30代は若者と中年の間。もう時間がない方だと思っていた。やりたいことはたくさんあるけど、それはどれもこの年齢では遅すぎる気がする。「もしも」時間があれば、「もしも」お金がたくさんあれば、「もしも」背が高ければ...。どれも「もしも」が付き纏う。努力や行動力があれば叶うものも中にはあるかもしれないが、「30代」という若かりし頃がだんだん遠のく感覚にやられて手も足も出せずにいた。

私の父はよく酔っ払うと映画や音楽について熱く語り始める。その日は「七人の侍」について。自分がこの前はじめて「七人の侍」を見たからだ。父は劇中のシーンの説明や、登場人物の心情などについて熱く語り始めた。 正直に言うと自分は「七人の侍」を理解しきれないでいた。様々な作品に影響を与えたことや、登場人物の格好良さは分かった。3時間があっという間だった。だが、台詞がうまく聞き取れなかったり、戦国時代の知識が乏しくて映画の深い部分まで辿り着けなかった。そんな自分にどこかがっかりした。 それを聞いた父親は「まだ若いんだから、これから10年後や20年後に理解できる機会なんていくらでもある。映画館の大画面で見ることもあるかもしれない」「まだこれから色々と楽しめて良いなぁ」と言った。

目から鱗が落ちた。自分のなかではもう30代になったら、なにも始められないと思っていた。でもそうではなかった。この世にはまだまだ知らない映画や音楽がたくさんあって、それらは自分の世界を広げてくれる。それらの作品には出会うタイミングがあって、「七人の侍」のように一度では理解しきれないかもしれない。だけどきっとまた巡り巡ってまたどこかで再会するのだと思う。 「いくら長生きしても、最初の20年こそ人生のいちばん長い半分」とは言うけれど、まだ見ぬ作品達が待っているかと思うと、これからの人生を色濃くしていこうと決意した。