プリンス論を読んで音楽と真摯に向き合おうと思った

プリンス論 (新潮新書)

プリンス論 (新潮新書)

  • 作者:西寺郷太
  • 発売日: 2015/09/17
  • メディア: 新書

プリンスとの出会い

プリンスとの出会いは3年前。Apple Musicで80年代プレイリストが偶然目に入った。1曲目が1999だった気がする。 数年前に亡くなったあの人か、と直ぐに分かった。訃報が流れた当時、ビジュアルに惹かれたのを覚えているからだ。そういえば聴いてみようと、パープルレインを聴いた。Let's Go Crazyのイントロで落ちた。あ、これは、好きなやつだな。ハマるやつだな、と直ぐに分かった。

そこからのめりこんだ。たくさん聴いた。映画パープルレインは大好きな映画のひとつになった。好きな色が紫になった。グッズも買った。バングルスのManic Monday、シンディ・ローパーのWhen You Were Mineなど、プリンスに出会う前から好きだった曲達はプリンスが作ったと知ったときは運命を感じた。

プリンス論

プリンス論を読んだのは、プリンスのことがもっと知りたかったから。音楽の解説を読むのは初めてかもしれない。それほど夢中になっているということだ。 プリンス論は、プリンスの生い立ちや環境から始まり、アルバム順に解説が書かれていく。自分がいかに音楽を分かっていないかが身に染みた。When Doves Cryにベースが無いことや、Holy Riverが結婚の曲ということを初めて知った。もちろんマイテや長男のことも...。今まで曲しか聴いたことがなかった自分は、プリンスのことを良く知れた。

We Are The World

印象に残ったのは、We Are The Worldでのエピソード。参加予定だったにも関わらず、不在となってしまったのは有名な話。もしプリンスが歌っていたらどんな曲に仕上がっていたのだろう。プリンスがいるWe Are The Worldが聴きたかった。 理由は、プリンスの身長が低いこと。We Are The Worldは複数人がひとつのマイクを囲んで歌っている。他の人と並ぶことが嫌だったらしい。We Are The Worldより前にチャリティーとして作られたDo They Know It's Christmas?は個別収録だったため、全員並んでの収録だとは思っていなかったらしい。 しかし結果的には参加しないで良かったと思った。本にも書かれているが、We Are The Worldに参加したアーティストはよくも悪くも"お茶の間"におさまってしまった。お茶の間で受け入れられているプリンスは見たくない。プリンスがプリンスのままでいてくれて良かったのかもしれない。

アルバム

もうひとつはグラミー賞でのスピーチ。 news.aol.jp 自分はすっかりデジタルに順応しすぎていたなと反省した。本にはアルバムのジャケットについても詳しく書かれているが、アルバムに込められた意味など考えたこともなかったし、あぁそういえばジャケットには裏もあったね、なんて忘れていたぐらいだ。 プリンス論を通して、アーティストがどのようにしてアルバムを作成しているか知った。アルバムはアーティストの歴史。そのときの気持ちや心情を表している。アルバムに収める曲を精査し、順番を考えて作られている。自分たちは好き勝手に聴いてはならず、その通りに聴くべきなんだ。プリンスがLovesexyで収録曲すべてを1トラックにおさめて、その通りにしか聴けなくしたように...。アーティストが真摯に作った作品には真摯に向き合おう。