「恋とはなんでしょう?」恋?わかりません。そりゃジャズより難解だ。

10年ぶりに大槻ケンヂ著の「神菜、頭をよくしてあげよう」の「恋とはなんでしょう?」を読んだ。いたく感動した。

当時は学生だったので何も分からず「へ〜そんなもんなのか」と読み流していた。恋だと愛だのなにも分からなかったので「ジャズより難しいなんて相当だな」という感想しか持っていなかったのになぁ。

恋は、始まらなかった時のほうが、より相手に対して、慈愛の心でいてあげられたようにも思える。どうしても相手に対しての執着を捨てることのできない人は、まだ二人の恋が、始まらなかった頃の気持ちをゆっくりと思い出してみたらいい。
「でも、元気でいてくれればいいか」
確かにそう願っていたことを、思い出すはずだ。
始まる前も終わった後も、相手の幸福のみを願う。恋とは、そういうものであるのかもしれない。わかんないけど。

本当にそう。10年のあいだに流石に恋のひとつやふたつも経験していたので染みた。

付き合う前は相手に対して特に求めることはないのに、手に入った途端欲が強くなる。片思いとか不倫とかこの世には色んな恋愛があるけど、誰かを好きになる気持ちはみんな同じ。恋が終わったときにみんながみんな、「あの人が元気でいてくれればいいか」と、恋が始まる前の気持ちを持てたらこの世はハッピーだろうな。そうであってほしい。浮気でも自然消滅でも一方的にフラれたとしても、好きだった相手を嫌いになったり恨んだりするような結果にはしたくないじゃない。

だから全人類に「恋とはなんでしょう?」を読んでほしい。騙されたと思って読んでほしい。

 

 

余談。オーケンとの出会いは神保町の古本屋で。

学生時代に「神保町に行って300円以内で古本を買ってくる」という授業があって、その時に買ったのが「神菜、頭をよくしてあげよう」だった。店内の本棚に入ってるわけでもなく、適当に平積みされている本の一番上にあった。このときは大槻ケンヂ筋肉少女帯も特撮も知らず、変わったタイトルと変わった著者名という印象。時間もなかったから「これでいいや!」と手に取り購入。値段は600円ぐらいだった気がする。友人から「これ300円で買えたの?!」と驚かれた思い出。

 

神菜、頭をよくしてあげよう (角川文庫)